擬二重周期を持つ関数であるテータ関数について調べました.
この記事は
の2つの関数の性質について少し調べて
を示すところまでを目標とします
ちなみにについて,と表記している文献結構あるみたいなので中途半端にちょくちょくにしてます.
テータ関数について
定義
テータ関数を
と定義する.
これはに関して整関数であり,は上半平面に対して正則な関数になる.
上半平面は複素数に対してとなる範囲のことを示す.
この関数はと置くととなり,下記の記事のテータ関数と一致する.
aryuaryuaryuryu.hatenablog.com
この関数はポアソン和公式を用いて函数等式を導くことができ,そこからゼータ関数の函数等式を得ることができる.
aryuaryuaryuryu.hatenablog.com
擬二重周期
この関数は
を満たし,擬二重周期関数と言われるらしい.
実際に計算をしてみると
及び
という感じに確認ができる.
零点
零点の位置
テータ関数の零点は
にあり,擬二重周期関数であるためを用いて
が零点になる.
ここでについて,の組み合わせで対応し,の組み合わせで対応し・・・
というように
に対しが対応することが
で確認ができ,お互いが打ち消し合うので
が示せた.
三重積
定義
無限積
を三重積という.
について,と表記しているので
になる.
としたときの場合は積について絶対収束する.
すなわちに関して整関数であり,は上半平面に対して正則な関数になる.
擬二重周期
この関数も
を満たす.
の式変形は自明.
となり示すことができる.
零点
零点の位置
零点はに対しになる.
ここで無限積
について,積のどれか1つの要素が0になれば0になる.
についてはなのでとして
なので0にならない.
次にについて,
となるようなを選べばよく
となるが零点になる.
つまり[tex:0を用いてn\in\mathbb{Z}],を用いて
がに対応する零点になる.
零点の位数
ヤコビの三重積の零点は一位の零点になる.
となる零点は1位の零点になる.
実際
であることからも,一位の零点であることはわかる.
三重積公式
ここでようやく本題のを示したい.
定義域と周期と零点が同じなので
とすると,について零点同士が打ち消し合う.
また
と二重周期関数になり,基本周期平行四辺形の内部に零点も極も存在しないので,リウヴィルの定理からはに関して定数関数になる.
そこではに依存するかどうかという話になる.
最終的なゴールとしては
を示せたら今回のお話は終わり.
ここではによらないので,仮にとすると
になる.
一方とすると,なので
になる.
ここで一旦分母のみ考える.
分母は積について絶対収束するので,をとと分けてやることで
に式変形ができる.
ここから同様の操作で
と式変形を行う.
分子については,になることから,が奇数の時とで互いに打ち消し合う.
つまり奇数は全て消え,偶数だけ残るので,をに置換しても差し支えなく,
になる.
つまり
となり,
と比較すると
になる.
ここで面白いのは,最初の議論によりはの値に影響されないことは分かっているのでになる.
つまり任意のに対しになる.
ここでとすっ飛ばしてやるととなり,結局の値にも影響されないことがわかってしまった・・・やばい・・・何がやばいって,つまりは定数関数ということになってしまう.
そこで最後の仕上げとして,,の場合になるので,とすっ飛ばすとが示される.
というわけでヤコビ三重積を示すことができた.