音楽室と化学室と美術室とPC室の融合部屋 所謂自由室

趣味と気分で適当に色々やります.なんかあるとたまに更新します.

メルセンヌ素数と完全数についてのメモ

今回は以前にも取り上げた完全数についてです.

メルセンヌ素数2^k-1で表すことができる素数で,小さい順に3,7,127,8191,...と並びます.
この素数完全数がどのように関係するかというと

偶数の完全数は,メルセンヌ素数Mを用いて\frac{M(M+1)}{2}と同値

という関係にあります.
以下証明.

ちなみに奇数の完全数は見つかっていません.存在するかも不明という実は未解決問題でもあります.



約数関数

約数関数はいくつか種類があり,一般的には\sigma_k(n) = \sum_{m|n} m^kと定義されます.
\sigma_0 (n)nの約数の個数を表し,d(n)と表記します.
ちなみにk = 1のとき\sigma(n)と表記し,これがnの約数の和になります.
例えば\sigma(8) = 1 + 2 + 4 + 8 = 15です.
特に完全数では,その数自体も約数であるため\sigma(6) = 1 + 2 + 3 + 6 = 12のように,\sigma(n) = 2nとなります.

約数関数は例えば素数pに対しp^aについて\sigma_k(p^a) = 1 + p^k + p^{2k} + \cdots + p^{ak}であり,
素数p_1,p_2に対しp_1^{a_1}p_2^{a_2}については\sigma_k(p_1^{a_1}p_2^{a_2}) = (1 + p_1^k + p_1^{2k} + \cdots + p_1^{ka_1})(1 + p_2^k + p_2^{2k} + \cdots + p_2^{ka_2})になります.
つまりn\perp mのとき\sigma_k(nm) = \sigma_k(n)\sigma_k(m)であることがわかります.


M(M+1)/2が完全数である証明

Mメルセンヌ素数,いわゆるM=2^k - 1素数であるとき,\frac{M+1}{2} = 2^{k-1}になります.

つまりメルセンヌ素数Mを用いて\frac{M(M+1)}{2} = M2^{k-1}になります.
M素数なので,約数関数\sigma(n)を用いて
\sigma(M2^{k-1}) = \sigma(M)\sigma(2^{k-1})
ここで\sigma(2^{k-1}) = 1 + 2 + 4 + \cdots + 2^{k-1}なので
\sigma(2^{k-1}) = 2^k - 1になります.

また明らかに\sigma(M) = 1 + M
つまり
\sigma(M2^{k-1}) = \sigma(M)\sigma(2^{k-1}) = (1+M)(2^k - 1)
ここでM=2^k - 1と戻すと
\sigma(M2^{k-1}) = \sigma(M)\sigma(2^{k-1}) = 2^k(2^k - 1) = 2^kM
つまり
\sigma\left(\frac{M(M+1)}{2}\right) = 2\cdot \frac{M(M+1)}{2}
であるため示すことができた.


偶数の完全数がM(M+1)/2である証明

偶数の素因数分解の結果を,2と2以外の数と考慮すると,何かしらの奇数mと整数k>0を用いて2^k mと表現できる.
ここで明らかに2^k \perp mなので\sigma(2^km) = \sigma(2^k)\sigma(m)となる.

ここで\sigma(2^k) = 2^{k+1} - 1になるので
\sigma(2^km) = (2^{k+1} - 1)\sigma(m)
また2^km完全数と仮定すると\sigma(2^km) = 2^{k+1}mなので
2^{k+1}m = (2^{k+1} - 1)\sigma(m)

ここで2^{k+1} - 1 \perp 2^{k+1}であるため,m\sigma(m)の最大公約数dを用いて\sigma(m) = 2^{k+1}dm = (2^{k+1} - 1)dと表現できる.


m=2^{k+1}d - d\sigma(m) = 2^{k+1}dで表現するとm = \sigma(m) - d
つまり\sigma(m) = m + dになる.
仮定ではk>0としており,また計算結果では\sigma(m) = 2^{k+1}dとなっていたため,
\sigma(m) = 2^{k+1}d = m + d> 2d

ここでm = (2^{k+1} - 1)dと表現できていたので,dm自身ではないmの約数になる..
ここで
d > 1のときは最低でも約数はm,d,1であるため\sigma(m) = m + d < m+d+1と矛盾.

つまりd=1であり,m = 2^{k+1} - 1\sigma(m) = m+1となる.
ここで\sigma(m) = m+1であるため,明らかにm素数

ということで,偶数の完全数(2^{k+1}-1)2^kという形であり,k+1 = aと置換すると2^{a-1}(2^a-1)完全数となり,2^a-1素数となる.

これは明らかにメルセンヌ素数であり,結局はメルセンヌ素数を用いて
\frac{M(M+1)}{2}
という形であることにほかならないことがわかった.

参考文献

初等整数論からp進数へ