音楽室と化学室と美術室とPC室の融合部屋 所謂自由室

趣味と気分で適当に色々やります.なんかあるとたまに更新します.

素数定理のメモ

リーマンの素数公式のときに軽く説明したが,
aryuaryuaryuryu.hatenablog.com
素数の個数についての近似定理,『素数定理』について調べたことを軽くまとめる.





素数定理とは

最初に記法についてだが,\lim_{x\to \infty} \frac{f(x)}{g(x)} = 1となる関数f(x)g(x)の関係をf(x)\sim g(x)と表す.
素数定理とは,x以下の素数の個数を表す関数(素数計数関数という)\pi (x)を用いて
\pi(x) \sim \frac{x}{\log{x}}
となる定理である.
言い換えると
\lim_{x\to \infty}\frac{\pi(x)\log{x}}{x} = 1
となる.
これを証明しようとリーマンが「与えられた数より小さい素数の個数について」という論文で素数計数関数を与える式
\pi(x) = \sum_{n=1}^{\infty}\frac{\mu(n)}{n}\left({\rm li}(x^\frac{1}{n}) - \sum_{\Im(\rho)\gt 0}\left({\rm li}(x^{^\frac{\rho}{n}}) + {\rm li}(x^{\frac{1-\rho}{n}})\right) + \int_{x^\frac{1}{n}}^{\infty}\frac{1}{t(t^2-1)\log{t}}dt - \log{2}\right)
を導出したが,ゼータ関数の非自明な零点を用いた和が必要で,この式を用いた証明としては不完全なものとなり,その非自明な零点の和に関する分布の予想がリーマン予想になる.
素数定理は他の手法で証明され,最後にはリーマン予想という大きな問題だけが残った.
元々はPerronの公式やChebyshevの関数を用いた証明があったが,Newmanによって初等的な証明が成された.
現在ではNewmanの証明を元にした以下の証明も見られる.
この記事は【Newman's Short Proof of the Prime Number Theorem】というpdfを元に書いていく.
また日本語として解説しているpdfも2つあった
素数定理の証明
代数学特論 – リーマンのゼータ関数と素数分布について –
ので参考にさせてもらった.



Newmanの証明を元にした素数定理の証明

問題設定の変更

x以下の素数にわたる対数の和
\vartheta (x) = \Sigma_{p\leq x} \log{p}
という関数を用いると
\vartheta (x) = \Sigma_{p\leq x} \log{p} \leq \Sigma_{p\leq x} \log{x}
と大小関係を考えることができ,あとは素数にわたる和なので,\pi (x)を用いて
\vartheta (x) = \Sigma_{p\leq x} \log{p} \leq \Sigma_{p\leq x} \log{x} = \pi(x) \log{x}
という関係になる.
よって
\frac{\vartheta (x)}{x} \leq \frac{\pi(x) \log{x}}{x}
という関係が得られる.

次に部分和として任意の0 < \varepsilon < 1を用いて
\vartheta (x) = \Sigma_{p\leq x} \log{p} \geq \Sigma_{x^{1-\varepsilon} \leq p\leq x} \log{p} \geq \sum_{x^{1-\varepsilon} \leq p\leq x} \log{x^{1-\varepsilon}}
という大小関係を考える.
これも素数計数関数を用いて
\vartheta (x) \geq \Sigma_{x^{1-\varepsilon} \leq p\leq x} \log{x^{1-\varepsilon}} = (1-\varepsilon)(\pi(x) - \pi(x^{1-\varepsilon}))\log{x}
と書くことができ,明らかに\pi(x^{1-\varepsilon}) \leq x^{1-\varepsilon}なので
\vartheta (x) \geq (1-\varepsilon)(\pi(x) - x^{1-\varepsilon})\log{x}
最後にこれを変形すると
\frac{1}{1-\varepsilon}\vartheta (x) \geq \pi(x)\log{x} - x^{1-\varepsilon}\log{x}
これで
\frac{1}{1-\varepsilon}\frac{\vartheta (x)}{x} + \frac{\log{x}}{x^{\varepsilon}} \geq \frac{\pi(x)\log{x}}{x}
となる.

こうして\lim_{x\to \infty}\frac{\log{x}}{x^\varepsilon} = 0\varepsilonは任意なので
\frac{\vartheta (x)}{x} \leq \frac{\pi(x) \log{x}}{x} \leq \frac{1}{1-\varepsilon}\frac{\vartheta (x)}{x} \to \frac{\vartheta (x)}{x}
となり,はさみうちの原理からx\to \inftyのとき\frac{\vartheta (x)}{x} = 1であることを示せば良い.
こうして素数定理の証明は\vartheta (x) \sim xを示す問題にすげ替えることができる.
以下からは\vartheta (x) \sim xを示すことを目標としていく.

θ(x)のオーダー

まず\vartheta (x)のオーダーについて考える.
2の2n乗について,
2^{2n} = (1+1)^{2n} = \sum_{r=0}^{2n}{}_{2n}C_r \geq {}_{2n}C_{n}
になる.
ここで{}_{2n}C_nn< p \leq 2n素数p全てで割り切ることができるので,{}_{2n}C_{n} \geq \prod_{n< p \leq 2n}pになる.
これを\vartheta (x) = \Sigma_{p\leq x} \log{p}で表すと
e^{2n\log{2}} = 2^{2n} = (1+1)^{2n} = \sum_{r=0}^{2n}{}_{2n}C_r \geq {}_{2n}C_{n} \geq \prod_{n< p \leq 2n}p = e^{\vartheta(2n) - \vartheta(n)}
になる.
こうして
2n\log{2} \geq \vartheta(2n) - \vartheta(n)
が得られる.
\left[\frac{x}{2}\right] = nと置くと
x\log{2} \geq 2n\log{2} \geq \vartheta(2n) - \vartheta(n) \geq \vartheta(x) - \vartheta(\frac{x}{2})
ととなる.
任意のx_0 \leq xについて,\frac{x}{2^{r+1}} < x_0 \leq \frac{x}{2^r}となるrを使って
x\log{2} \geq \vartheta(x) - \vartheta(\frac{x}{2})
\frac{x}{2}\log{2} \geq \vartheta(\frac{x}{2}) - \vartheta(\frac{x}{4})
\frac{x}{4}\log{2} \geq \vartheta(\frac{x}{4}) - \vartheta(\frac{x}{8})
\cdots
\frac{x}{2^r}\log{2} \geq \vartheta(\frac{x}{2^r}) - \vartheta(\frac{x}{2^{r+1}})
を足していくと
2x\log{2} \geq 2x(1-\frac{1}{2^r})\log{2} \geq \vartheta(x) - \vartheta(\frac{x}{2^{r+1}}) > \vartheta(x) - \vartheta(x_0)
になる.
こうして
2x\log{2} + \vartheta(x_0) > \vartheta(x)
が得られ,\vartheta(x_0)は定数なので\vartheta(x) = \mathcal{O}(x)がわかった.

θ(x)~xの証明

ここからは\vartheta (x) \sim x,いわゆる\lim_{x\to \infty}\frac{\vartheta(x)}{x} = 1を示す.
ここで仮に\lim_{x\to \infty}\frac{\vartheta(x)}{x} \neq 1の場合を考えることにする.
その場合,
\lim_{x\to \infty}\frac{\vartheta(x)}{x} > 1
\lim_{x\to \infty}\frac{\vartheta(x)}{x} < 1
のいずれかになるはず.
そこでそれぞれ試しに考えていくことになる.
最初に\lim_{x\to \infty}\frac{\vartheta(x)}{x} > 1となる場合を考えるが,\vartheta(x) = \mathcal{O}(x)であることからxがある程度大きくなるとM>1となる数値を用いて\vartheta(x) > Mxになる.
『仮に\int_{1}^{\infty}\frac{\vartheta(t) - t}{t^2}dtが収束するなら』,めちゃくちゃ大きい数値Rを使って\int_{R}^{RM}\frac{\vartheta(t) - t}{t^2}dt \to 0と書くことができる.
ここでx\to \inftyのとき\vartheta(x) > Mxとなるので
\int_{x}^{Mx}\frac{\vartheta(t) - t}{t^2}dt > \int_{x}^{Mx}\frac{Mx - t}{t^2}dt > \int_{x}^{Mx}\frac{Mx - t}{t^2}dt = \int_{1}^{M}\frac{M - u}{u^2}du
途中の式変形はt = xuと置換した.
ここで\int_{1}^{M}\frac{M - u}{u^2}du = \int_{1}^{M}(Mu^{-2} - u^{-1})du = M-1-\log{M}となり,x\to \inftyとしても影響しないので,\lim_{x\to \infty}\frac{\vartheta(x)}{x} > 1という前提が間違っていることになる.

同様に\lim_{x\to \infty}\frac{\vartheta(x)}{x} < 1とすると,xがある程度大きくなるとm<1となる数値を用いて\vartheta(x) < mxとなる.
仮に\int_{1}^{\infty}\frac{\vartheta(t) - t}{t^2}dtが収束するなら,めちゃくちゃ大きい数値Rを使って\int_{Rm}^{R}\frac{\vartheta(t) - t}{t^2}dt \to 0と書くことができる.
ここで\vartheta(x) < mxとなるので,x\to \inftyとすると
\int_{mx}^{x}\frac{\vartheta(t) - t}{t^2}dt < \int_{mx}^{x}\frac{mx - t}{t^2}dt  = \int_{m}^{1}\frac{m - u}{u^2}duになる.
この場合も\int_{m}^{1}\frac{m - u}{u^2}du = 1-m+\log{m}となり,xに依存しないので,\lim_{x\to \infty}\frac{\vartheta(x)}{x} < 1という前提が間違っていることになる.

こうして\lim_{x\to \infty}\frac{\vartheta(x)}{x} > 1でも\lim_{x\to \infty}\frac{\vartheta(x)}{x} < 1でもないので\lim_{x\to \infty}\frac{\vartheta(x)}{x} = 1になる.

ここで問題は【仮に\int_{1}^{\infty}\frac{\vartheta(t) - t}{t^2}dtが収束するなら】と仮定している部分の真偽に委ねられる.
この積分t=e^uと置換すると
\int_{0}^{\infty}(\vartheta(e^u)e^{-u}-1)du
という積分に置き換えられ,今後はこれが収束することを示すことがメインになる.


関数の定義

ゼータ関数オイラー
\zeta(s) = \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n^s} = \prod_{p}\left(1-p^{-s}\right)^{-1}
の対数微分
\frac{\zeta '(s)}{\zeta(s)} = \sum_{p} \frac{\log{p}}{1 - p^s}
を変形する
\frac{\zeta '(s)}{\zeta(s)} = -\sum_{p} \frac{p^s\log{p} - \log{p} + \log{p}}{p^s(1 - p^s)} = -\sum_{p}\frac{\log{p}}{p^s} - \sum_{p}\frac{\log{p}}{p^s(p^s - 1)}
ここで関数
\Phi(s) = \sum_{p}\frac{\log{p}}{p^s}
を定義すると
\frac{\zeta '(s)}{\zeta(s)} = -\Phi(s) - \sum_{p}\frac{\log{p}}{p^s(p^s - 1)}
になる.
この\Phi(x)
\Phi(s) = \sum_{p}\frac{\log{p}}{p^s}\\ = \left(\frac{\log{2}}{2^s} - \frac{\log{2}}{3^s}\right) + \left(\frac{\log{2}}{3^s} + \frac{\log{3}}{3^s} - \frac{\log{2}}{5^s} - \frac{\log{3}}{5^s}\right) + \cdots
と書き直すことができ,k番目の素数p_kとすると
\Phi(s) = \sum_{k}\left(\frac{\vartheta(p_k)}{p_k^s} - \frac{\vartheta(p_{k+1} - \epsilon)}{(p_{k+1}  - \epsilon)^s}\right)
とまとめることができ,
\Phi(s) = \sum_{k}\int_{p_{k+1}}^{p_k}-s\vartheta(t)t^{-s-1}dt = s\sum_{k}\int_{p_{k}}^{p_{k+1}}\vartheta(t)t^{-s-1}dt = s\int_{0}^{\infty}\vartheta(t)t^{-s-1}dt
になる.
t = e^uと置換すると
\frac{\Phi(s)}{s} = \int_{0}^{\infty}\vartheta(e^u)e^{-us}du
となり,\frac{\Phi(s)}{s}\vartheta(e^s)ラプラス変換になる.
この先の話の流れとしては,このラプラス変換を用いて先の\int_{0}^{\infty}(\vartheta(e^u)e^{-u}-1)duの収束性の証明をしていくが,そのためには\Phi(s)の性質について調べる必要がある.



関数Φ(s)の性質

以下の3つの関数
\zeta(s) = \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n^s}
\Phi(s) = \sum_{p}\frac{\log{p}}{p^s}
\vartheta (x) = \Sigma_{p\leq x} \log{p}
について調べていく.


\zeta(s)\lim_{s\to 1}(s-1)\zeta(s) = 1となり,s=1において留数1の極を持つ.
s=1についてローラン展開すると
\zeta(s) = \frac{1}{s-1} + \gamma + \sum_{k=1}^{\infty}\gamma_k(s-1)^k
という形になり,\gammaオイラー定数,\gamma_kは一般オイラー定数と呼ばれる.
s=1におけるローラン展開の極を消去すると\zeta(s) - \frac{1}{s-1}\Re(s)\geq0で正則になる.
\zeta(s)自体は\Re(s)>1では零点を持たない.

ここで\Re(s)=1の直線上で零点が存在するかを見ていく.
\zeta(s) - \frac{1}{s-1}\Re(s)\geq0で正則になるので\zeta(s) - \frac{1}{s-1} = \phi(s)とすると\zeta(s) = (s-1)^{-1}+\phi(s)になる.
ここで\zeta'(s) = -(s-1)^{-2} + \phi'(s)になるので
\frac{\zeta'(s)}{\zeta(s)} = \frac{-1 + (s-1)^2\phi'(s)}{(s-1)(1+(s-1)\phi(s))}になり,\frac{\zeta'(s)}{\zeta(s)}s=1で留数1の極を持つ.
次に\zeta(s)1+i\alpha\mu位の零点を持つとして,1+2i\alpha\nu位の零点を持つとする.(\nu = 0の場合もある)
もしも\zeta(s)s=s_0k位の零点となる場合,
\zeta(s) = (s-s_0)^k(1+g(s))となるg(s)が存在する.
これを微分すると
\zeta'(s) = k(s-s_0)^{k-1}(1+g(s)) + (s-s_0)^kg'(s) = (s-s_0)^{k-1}(k+kg(s) + (s-s_0)g'(s))
になり,
\frac{\zeta'(s)}{\zeta(s)} = \frac{ (s-s_0)^{k-1}(k+kg(s) + (s-s_0)g'(s)) }{ (s-s_0)^k(1+g(s)) } = \frac{ k(1+g(s)) + (s-s_0)g'(s) }{(s-s_0)(1+g(s))}となるので,
(s-s_0)\frac{\zeta'(s)}{\zeta(s)} = \frac{ k(1+g(s)) + (s-s_0)g'(s) }{(1+g(s))}と変形でき,\lim_{s\to s_0}(s-s_0)\frac{\zeta'(s)}{\zeta(s)} = kと留数kの一位の極になる.
また,n^{a+bi} = n^a(\cos{(b\log{n})} + i\sin{(b\log{n})})に対しn^{a-bi}n^{a-bi} = n^a(\cos{(b\log{n})} - i\sin{(b\log{n})})となり\zeta(\overline{s}) = \overline{\zeta(s)}になるので,\zeta(1+i\alpha) = 0ならば\zeta(1-i\alpha) = 0ということがわかる.


ここで前述の
\frac{\zeta '(s)}{\zeta(s)} = -\Phi(s) - \sum_{p}\frac{\log{p}}{p^s(p^s - 1)}
について,
\sum_{p}\frac{\log{p}}{p^s(p^s - 1)}
\Re(s)\geq \frac{1}{2}のときに収束することを見ていく.
\sum_{p}\left|\frac{\log{p}}{p^s}\right| \leq \sum_{p}\frac{\log{p}}{|p^s|(|p^s| - 1)} \leq \sum_{p}\frac{2\log{p}}{|p^s|^2} = \sum_{p}\frac{2\log{p}}{p^{2\Re(s)}} < \sum_{n=1}^{\infty}\frac{\log{n}}{n^{2\Re(s)}}
となる.
ここで\epsilon>0とすると\log{x} \ll x^\epsilonなので\sum_{n=1}^{\infty}\frac{\log{n}}{n^s} < \sum_{n=1}^{\infty}\frac{n^{\epsilon}}{n^{s}}になり\sum_{n=1}^{\infty}\frac{\log{n}}{n^{s}}s>1のときに収束する.
つまり\sum_{p}\left|\frac{\log{p}}{p^s}\right|  < \sum_{n=1}^{\infty}\frac{\log{n}}{n^2\Re(s)}の右辺は\Re(s)>\frac{1}{2}のときに収束する.
こうして
\Phi(s) = -\frac{\zeta '(s)}{\zeta(s)} - \sum_{p}\frac{\log{p}}{p^s(p^s - 1)}
の極は\frac{\zeta '(s)}{\zeta(s)}に委ねられることになった.

ここで先の議論で,\zeta(s)s=s_0k位の零点を持つならば\frac{\zeta'(s)}{\zeta(s)}s=s_0で留数kの一位の極が得られるので,
\lim_{\epsilon \to +0}\epsilon\Phi(1+\epsilon) = 1
\lim_{\epsilon \to +0}\epsilon\Phi(1+\epsilon \pm i\alpha) = -\mu
\lim_{\epsilon \to +0}\epsilon\Phi(1+\epsilon \pm 2i\alpha) = -\nu
になる.
ここで\Phi(s) = \sum_{p}\frac{\log{p}}{p^s}なので,\Phi(1+\epsilon \pm i\alpha) = \sum_{p}\frac{\log{p}}{p^{1+\epsilon \pm i\alpha}} = \sum_{p}\frac{\log{p}}{p^{1+\epsilon}} p^{\mp i\alpha}になる.
つまり右辺をうまいこと使うと\epsilon \to +0としても
\sum_{k=-2}^{2} \tbinom{4}{2+k}\epsilon\Phi(1+\epsilon + ki\alpha) =  \sum_{p}\epsilon\frac{\log{p}}{p^{1+\epsilon}}(\tbinom{4}{0}p^{2i\alpha} + \tbinom{4}{1}p^{i\alpha} + \tbinom{4}{2} + \tbinom{4}{3}p^{-i\alpha} + \tbinom{4}{4}p^{-2i\alpha}) = \sum_{p}\frac{\log{p}}{p^{1+\epsilon}}(p^{\frac{i\alpha}{2}} + p^{\frac{-i\alpha}{2}})^4 \geq 0
ということがわかる.
しかし一方,左辺は\epsilon \to 0とすると
\sum_{k=-2}^{2} \epsilon\tbinom{4}{2+k}\Phi(1+\epsilon + ki\alpha) =  \tbinom{4}{0}\nu + \tbinom{4}{1}\mu + \tbinom{4}{2} + \tbinom{4}{3}\mu + \tbinom{4}{4}\nu = 6-8\mu - 2\nu
になるが,この計算結果は0以上になるはずで,\mu = 0としかならない.
\zeta(s)1+i\alpha\mu位の零点を持つと仮定していたので,\zeta(s)\Re(s) = 1で零点を持たないことがわかる.
よって\Phi(s) = -\frac{\zeta '(s)}{\zeta(s)} - \sum_{p}\frac{\log{p}}{p^s(p^s - 1)}の極はs=1のみであり,その極は位数1で留数1になる.

\Phi(s) = \frac{1}{s-1} + \sum_{n=0}^{\infty}a_n(s-1)^n
ローラン展開でき,
\Phi(s) - \frac{1}{s-1}  = \sum_{n=0}^{\infty}a_n(s-1)^n
\Re(s) \geq 1で正則になる.




積分の収束性

先程なぜ\Phi(s)の正則性の話まで考えたのかと言うと,
\Phi(s) = s\int_{0}^{\infty}e^{-st}\vartheta(e^t)dt
という積分について,先の\int_{0}^{\infty}(\vartheta(e^u)e^{-u}-1)duが収束することを証明するためだ.
f(t) = \vartheta(e^t)e^{-t} - 1ラプラス変換
\mathcal{L}[f](z) = \int_{0}^{\infty}(\vartheta(e^t)e^{-t} - 1)e^{zt}dt
について収束性が証明でき,\mathcal{L}[f](0) = \int_{0}^{\infty}(\vartheta(e^t)e^{-t} - 1)dtが言えるなら素数定理の証明は終了する.
\mathcal{L}[f](z) = \int_{0}^{\infty}(\vartheta(e^t)e^{-t} - 1)e^{zt}dt = \int_{0}^{\infty}\left(\vartheta(e^t)e^{-(z+1)t} - e^{-st}\right)dt = \int_{0}^{\infty}\vartheta(e^t)e^{-(z+1)t}dt - \int_{0}^{\infty}e^{-st}dt
と変形すると,\Phi(s) = s\int_{0}^{\infty}e^{-st}\vartheta(e^t)dtより
\mathcal{L}[f](z) = \frac{\Phi(z+1)}{z+1} - \frac{1}{z} = \frac{z\Phi(z+1) - z - 1}{z(z+1)} = \frac{\Phi(z+1) - z^{-1}}{z+1}-\frac{1}{z+1}
になり,\Phi(s) - \frac{1}{s-1}s=1で正則なので,\mathcal{L}[f](z) = \int_{0}^{\infty}(\vartheta(e^t)e^{-t} - 1)e^{zt}dtz=0で収束する.
最後に
\mathcal{L}[f](z) = \int_{0}^{\infty}f(t)e^{-zt}dt
z\geq 0で収束するときに\mathcal{L}[f](0) = \int_{0}^{\infty}f(t)dtとなることが言えれば良い.


ここで解析的定理を証明する.

f(t)t\geq 0積分可能で
g(z) = \int_0^\infty f(t)e^{-zt}dt
\Re(z) \geq 0で正則のとき,\int_0^\infty f(t)dtは収束し,g(0) = \int_0^{\infty} f(t)dtになる

ここでg(z) = \int_{0}^{\infty}f(t)e^{-st}dt積分区間を変更したg_T(z) = \int_{0}^{T}f(t)e^{-st}dtについて,\lim_{T\to \infty}g_T(0) = g(0)になることを示すことが最後の目標になる.
h(z) = (g(z)-g_T(z))e^{zt}\left(1+\frac{z^2}{R^2}\right)
という関数を定義すると,a=0としたコーシーの積分公式h(a) =\frac{1}{2\pi i}\int_{C}\frac{h(z)}{z-a}dzから,
g(0)-g_T(0) = \frac{1}{2\pi i}\int_{C}(g(z)-g_T(z))e^{zT}\left(1+\frac{z^2}{R^2}\right)\frac{1}{z}dz
になり,T\to \inftyとするときに右辺が0になることを示せば良い.
ここで
|g(0)-g_T(0)| \leq \frac{1}{2\pi}\int_{C}|g(z)-g_T(z)|\left|e^{zT}\left(1+\frac{z^2}{R^2}\right)\frac{1}{z}\right|dz
になるのでこれから右辺を評価する.
積分経路を-\delta-Riから-\delta+Riの虚軸の少し左側を通る経路をC_--\deltaを中心とした半径R\Re(z)>0の半円を通る経路をC_+として(C_-) + (C_+) = Cとする.
半円C_+上の評価について,0\leq t < \inftyまでのf(t)の最大値をBとすると
|g(z)-g_T(z)| = |\int_{0}^{\infty}f(t)e^{-zt}dt - \int_{0}^{T}f(t)e^{-zt}dt| = |\int_{T}^{\infty}f(t)e^{-zt}dt| \leq B\int_{T}^{\infty}\left|e^{-zt}\right|dt
|g(z)-g_T(z)| \leq B\int_{T}^{\infty}\left|e^{-zt}\right|dt = B\int_{T}^{\infty}e^{-\Re(z)t}dt = \frac{Be^{-\Re(z)T}}{\Re(z)}
またz=Re^{i\theta}とすると
\left|e^{zT}\left(1+\frac{z^2}{R^2}\right)\frac{1}{z}\right| < e^{\Re(z)T}\left|\left(1+e^{2i\theta}\right)\frac{e^{-i\theta}}{R}\right| = e^{\Re(z)T}\left|e^{-i\theta}+e^{i\theta}\right|\frac{1}{R}
\left|e^{zT}\left(1+\frac{z^2}{R^2}\right)\frac{1}{z}\right| < e^{\Re(z)T}\left|Re^{-i\theta}+Re^{i\theta}\right|\frac{1}{R^2} = e^{\Re(z)T}\left|z+\overline{z}\right|\frac{1}{R^2} = e^{\Re(z)T}\frac{2|\Re(z)|}{R^2}
になり,
\frac{1}{2\pi}\int_{C_+}|g(z)-g_T(z)|\left|e^{zT}\left(1+\frac{z^2}{R^2}\right)\frac{1}{z}\right|dz \leq \frac{1}{2\pi}\int_{C_+} \frac{Be^{-\Re(z)T}}{\Re(z)}e^{\Re(z)T}\frac{2|\Re(z)|}{R^2} dz \leq \frac{1}{2\pi}\pi R \frac{2B}{R^2} = \frac{B}{R}
と評価ができる.

直線C_-の評価についてはg(z)g_T(z)について分割でき
\frac{1}{2\pi}\int_{C_-}|g(z)-g_T(z)|\left|e^{zT}\left(1+\frac{z^2}{R^2}\right)\frac{1}{z}\right|dz \leq \left|\frac{1}{2\pi}\int_{C_-}g(z)e^{zT}\left(1+\frac{z^2}{R^2}\right)\frac{1}{z}dz\right| + \frac{1}{2\pi}\int_{C_-}|g_T(z)|\left|e^{zT}\left(1+\frac{z^2}{R^2}\right)\frac{1}{z}\right|dz
とする.

\frac{1}{2\pi}\int_{C_-}|g_T(z)|\left|e^{zT}\left(1+\frac{z^2}{R^2}\right)\frac{1}{z}\right|dz
については
\left|e^{zT}\left(1+\frac{z^2}{R^2}\right)\frac{1}{z}\right| < e^{\Re(z)T}\frac{2|\Re(z)|}{R^2}
という評価と,0\leq t < \inftyまでのf(t)の最大値をB\Re(z) < 0として
|g_T(z)| = \int_{0}^{T}|f(t)e^{-zt}|dt \leq \int_{0}^{T}B|e^{-zt}|dt \leq B\int_{-\infty}^{T}e^{-\Re(z)t}dt = \frac{Be^{-\Re(z)T}}{-\Re(z)}
になるので
|g_T(z)| = \frac{1}{2\pi}\int_{C_-}f(t)e^{-zt}dt \leq \frac{1}{2\pi}(\pi R)\frac{Be^{-\Re(z)T}}{-\Re(z)} e^{\Re(z)T}\frac{2|\Re(z)|}{R^2} = \frac{B}{R}
という評価が得られる.

最後は
\left|\frac{1}{2\pi}\int_{C_-}g(z)e^{zT}\left(1+\frac{z^2}{R^2}\right)\frac{1}{z}dz\right|
の評価だが,
積分経路上の\left|g(z)\left(1+\frac{z^2}{R^2}\right)\frac{1}{z}\right|の最大値をB_2とすると
\left|\frac{1}{2\pi}\int_{C_-}g(z)e^{zT}\left(1+\frac{z^2}{R^2}\right)\frac{1}{z}dz\right| \leq  \left|\frac{1}{2\pi}\int_{C_-}B_2 e^{zT}dz\right| \leq \frac{B_2}{2\pi}\int_{C_-}\left|e^{zT}\right|dz
という評価からあとは
\left|\frac{1}{2\pi}\int_{C_-}g(z)e^{zT}\left(1+\frac{z^2}{R^2}\right)\frac{1}{z}dz\right| \leq  \frac{B_2}{2\pi}\int_{C_-}\left|e^{zT}\right|dz \leq \frac{B_2}{2\pi}\int_{C_-}\left|e^{zT}\right|dz = \frac{B_2}{2\pi}\int_{C_-}e^{\Re(z)T}dz = \frac{B_2}{2\pi}\int_{C_-}e^{-\delta T}dz = \frac{RB_2}{\pi}e^{-\delta T}
と計算できる.
よって
\frac{1}{2\pi}\left|\int_{C_-}g(z)-g_T(z)e^{zT}\left(1+\frac{z^2}{R^2}\right)\frac{1}{z}dz\right| \leq \frac{B}{R} +  \frac{RB_2}{\pi}e^{-\delta T}
になる.

最後はこれまでの積分
|g(0)-g_T(0)| = \left|\frac{1}{2\pi i}\int_{C}(g(z)-g_T(z))e^{zT}\left(1+\frac{z^2}{R^2}\right)\frac{1}{z}dz\right| \\< \left|\frac{1}{2\pi i}\int_{C_-}(g(z)-g_T(z))e^{zT}\left(1+\frac{z^2}{R^2}\right)\frac{1}{z}dz\right| + \left|\frac{1}{2\pi i}\int_{C_+}(g(z)-g_T(z))e^{zT}\left(1+\frac{z^2}{R^2}\right)\frac{1}{z}dz\right|
について,
\left|\frac{1}{2\pi i}\int_{C_+}(g(z)-g_T(z))e^{zT}\left(1+\frac{z^2}{R^2}\right)\frac{1}{z}dz\right| \leq \frac{B}{R}
及び
\left|\frac{1}{2\pi i}\int_{C_-}(g(z)-g_T(z))e^{zT}\left(1+\frac{z^2}{R^2}\right)\frac{1}{z}dz\right| \leq \frac{B}{R} + \frac{RB_2}{\pi}e^{-\delta T}
だったので,
|g(0)-g_T(0)| \leq \frac{B}{R} + \frac{B}{R} + \frac{RB_2}{\pi}e^{-\delta T} = \frac{2B}{R} + \frac{RB_2}{\pi}e^{-\delta T}
あとはT\to \inftyとすると
\lim_{T\to\infty}|g(0)-g_T(0)| \to \frac{2B}{R}
で,Rはいくらでも広げられるので
\lim_{T\to\infty}|g(0)-g_T(0)| = 0
になる.


つまり
g(0) = \lim_{T\to \infty}g_T(0)
ということが示せたので,素数定理の証明ができた.