皆さん超越数って知っていますか
まず代数的数について,係数の有限次多項式の解になるもの・・・
すなわち適当なとが存在し,
を満たすとき,は代数的数と言い,代数的数でないものを超越数と言います.
ネイピア数は超越数の1つになります.
今回はが超越数であることの証明について,備忘録としてまとめました.
方針
方針としては,
- が代数的数であると仮定する
- は代数的数と仮定しているので,となる整数係数多項式が存在
- の係数を用いて を用いた整数の式を用意する
- を用いて中のを消滅させる
- の大きさの評価により発生する矛盾について調べる
という流れになります.
背理法の前提
を代数的数とする.すると
となる整数列が存在する.
矛盾を発生させる前提の作成
を適当な有限次(一旦次とする)多項式とする.するとは回以上の微分を行うとの定数関数になる.
については後々考えるが,この性質はどんな式でも変わらないのでこの章はこのまま続ける.
まずについて計算する.
なぜこの積分を行うかというと,このは部分積分を続けていくと有限個の項で積分が終わる.
この積分について2種類の大きさの評価を用いることで,矛盾を引き起こすことができる.
このはとして部分積分を行うと
になる.新たに出てきた積分は,の次数が下がっただけで特に変化がないので,同じように何度も繰り返す.
するとになるので
で打ち切られ,
となる.
Jの決定
となる整数列を用いて考える.
今回はこの係数を用いた
というについて考えていきたい.
簡潔にまとめると
になる.
すると
なので
とまとめると
なので
という部分のみが残る.
fについての考察
fの考察
p-1回の微分
回微分した場合,を消しきった項が1つ存在し,
という式にはなっているので,のとき
を整理し
であり,のときは少なくともの項はどれも残っているので
になる.
回以上微分を行った場合,以下の2つに分けられる
- 次式全て微分しきった場合
- まだ残っている場合
まだ残っている場合
まだ残っている場合については,重点的にを消化した場合,その分の次数下げが行われているので
というようにの倍数になる.
他の引数についてはが残っていればであり,消えていればそれもまたの倍数になるので,
いずれにしろの倍数になる.
つまり回以上微分を行うと,少なくともの倍数にはなる.
以上より,を除くとはの倍数になり,
はになる.
Jの評価(1)
これからの評価を行う.
に用いるについては,かつとなる素数が都合が良い.
「都合がいい」という理由はすぐに述べる.
ここからについて考察を行う.
少なくとも以外はの倍数であるが,
はについては
かつであるための倍数にはならない.
は整数列であり,も整数係数多項式なので,も整数になる.
また,であるためになる.
Jの評価(2)
次にを構成していた
についての考察を行う.
これは
であり,の各係数に絶対値をつけたを定義すると
という評価ができる.
また
と定義していたので
という簡単な式で評価ができ,
になる.
一方
なので
になる.
これを更に大きく見積もっていく.
の中で最大のものをと置き,に関しては全てにする.
整理して
更に大きく見積もるため,の中で最大のものをと置き,だったので
こうしてによらない十分に大きいに対し
と評価ができる.