Twitterのゲーム仲間のツイートで「極限についてわからん」とか「無限大がよくわからない」って文字列をよく見るので,とりあえずまとめてみようと思いました.
大学数学っぽい内容に足を突っ込んでいますが,具体的なイメージが欲しい方のために書き綴ります.
極限について
ズバリ言うと,「いくらでも極端なものを言ってみろ!それより更に凄いものを用意してやる」という状態です.
・・・と言ってもわからないですよね.
そこで,に収束する数列
について,『を限りなく増やすとはに近づく』と高校数学では説明されるけど,実際「近づく」ということはどういうことなのだろう?
ということから始めましょう.
「限りなく近づく」とは?
じゃぁ『限り無く近づく』というのはどういうことなのか?
それを考えるために『誤差』というものを考えます.
例えば数列と数値について誤差を考えます.
「限り無く近づく」ということは,この誤差が限りなく0に近づくということですが,その『近づく』とはどういうことなのでしょうか.
それを考えるために『いくらでも小さい値を言ってみろ』と問うわけです.
そうです,限りなく近づくのなら『数列を進めていくと,いつかは誤差はその値より小さくなる』のです.
そこをひっくるめて言うと,『いくらでも小さい誤差を言ってみろ,ある以上ならがその誤差より小さくなるようなを用意してやる』という状態です.
それをひっくるめて言うと
となりますが,ざっくり説明すると
『どんなを用意されたとしても,とある自然数以上のについてとの誤差がより小さくなるを用意できる』
という内容です.
この
については,『イプシロンーエヌ論法』と言うようです.
例
例えばですが
について考えてみます.
これはのときにになります.
そこでという値を出されたとします.
その場合は「ざんね~ん!の時にずっと誤差はその値未満になりますー!」と言えちゃうわけです.
この例の本題としては
ですが,これを言い換えると
どんな誤差を出されたとしても,ならばその誤差よりも小さくなります.
無限大ってなぁに?
極限で出てくる定番の『無限大』ですが,無限大とはどういう数字なのでしょうか?・・・というとツッコまれるので本題に行きましょう.
無限大についてですが,先程のイプシロンーエヌ論法を元に考えます.
無限大についてですが,「どんな数も大きい数」とか「限りなく大きい数」とか説明されますが,そもそも「数ではない」です.
無限大は数ではないです
どちらかというと,『具体的な数ではない概念』です.
ではどのように無限大についての説明をするかというと,今度は「いくらでも大きい数を用意してみろ,もっと大きい数を用意できるぞ」という状態です.
さっきの「いくらでも小さい値を言ってみろ」と逆の「いくらでも大きい値を言ってみろ」という状態です.
例えば
についてですが,例えばという数字を出されると
「そんな数字でいいのか!のときにそれより大きい数になるぞ!」となりますね.
正直という数字を出されたとしても,せいぜいより大きい整数ならそれより大きくなりますね.
これは
と表現ができて,『どんなを用意されたとしても,とある自然数以上のについてがより小さくなるを用意できる』
と言えちゃうわけです.
ε-δ論法
極限で外せない話というと,ε-δ論法ですね.
例えばという極限について
『がに限りなく近づくとはに近づく』
なんて説明がされますが,先程と同じように「限り無く近づくってなんだよ!」ってなるわけですね!
そこで
は周辺で限りなく小さくなる
と考えます.
すると「限りなく小さくなるってなんだよ!a周辺ってなんだよ!」ってなるわけですね.
そこで
どんな小さい数字を出されたとしてもとなる範囲はの周辺にある
と言い換えます.
そこで「限りなく小さくなるってなんだよ!」の問題は消えました.
次に「a周辺ってなんだよ!」についての問題ですが,同じように,
範囲の広さがあっての範囲ならそれを満たす
と言い換えることができそうですね.
これまでの話をまとめると
どんな小さい数字を出されたとしても,対応する範囲の広さがあって,の範囲だったらになりますよ
という感じになります.
論理記号を用いて表現すると
になります.
極限の公式
ちなみに高校でも扱う極限の公式
のとき
というような公式の証明は,ε-δ論法を使って証明することができます.
は
の誤差に収まる範囲が存在し,
は
の誤差に収まる範囲が存在する.
とを用いてについて考えると三角不等式から
になるので,,のうち小さい方をとし,とすると
が示せる.